君の声




あっという間に目の前からいなくなった。
ずっと僕は見ていたはずなのに。
さっきまで一緒にいたかのような気分。
ガラス越しに聞こえた声は
すごく小さくて聞こえにくかった。
君がささやいたその言葉の意味は、僕には分からなかった。
僕らには似ているところがある。
苦しくても、それを苦しいといえないところ。
トリッキーで、自分に正直でない。
辛いときに意地張って
気がつけば一人ぼっち。
あなたがいるから、僕は一人ではないのかもしれない。
都合のいいやつだと、自分を責める。
手遅れなのかもしれない。
「崩れた積み木の山は、もう1度積み立ててもいいの?」
誰も答えてはくれない。
最後まで優柔不断な僕だけど
いつか頼れる自分になりたいと思う。

この声が君に届くのなら
僕は何をしたってかまわない。
いつかの約束を果たせるように。
本当は不安なんだ。
それは、君が僕を
僕が君を裏切ってしまうかもしれないから。
もう2度とそんなことしたくないから。
好きという気持ちが不安を超えるには
やっぱり時間がかかる。
今の僕ならなおさら。
あなたは、そんなことを望んでいないのかもしれないけど
我侭をひとつ聞いてほしいです。
あの日、笑っていた二人に。
君は今、どんな声で笑うのかなぁ。


-End-

by Ria. from05/12/27