キミとボク




たとえばこうだ。
キミがボクを気にもとめないで通りすぎるから、ボクが悲しくなる。
ボクはキミのこと気にしているから、キミは気付いてくれる。
だけど気付くだけ。振り向いてはくれない。
「もしかしたら」なんて思う自分が、心の奥でひょっこり顔を出している。
しかしその自分もまた、悲しくなって引っ込んでしまう。
次を求めて、またその次を求めて…。出ては引っ込んでいる自分がいる。
だけどそのうち、人の体は我侭で
心変わらずとも、体が言うことを聞いてくれなくなる。
体がキミを求めないから、心も求めてないんじゃないかと思ってしまい
こうして1つの恋心が終わる。
「次があるよ」なんて言い聞かす自分がそこにいる。
…悔しい。


たとえばボクがまだ、後悔していることがあるというのなら
それは本当に自分の気持ちが言えなかったこと。
「絶対無理!」なんて思っている人も、片隅では「もしかしたら」の自分がいるわけで
そうして打ち明けた、最後まで照れの言葉はキミの心に響かなかった。
ボクの想いより、キミの想いのほうが大きかったから。
本当にキミを求めるのなら、もっと素直になればよかった。
やはりボクは本当にキミを好きじゃなかったのかもね。
なんて思うボクはやっぱりまだまだ恋してる。
遅れて、出せなかった本当の気持ちにやっと今気付いた。
1度積み立てた積み木は、風にふかれて倒れてしまった。
それはもう2度と積み立ててはいけないの?
…ううん。


たとえば、ボクらはロウソク。
キミは小さなロウソクで、すごく大きな炎をくっつけて。それなのにキミは少しもとけてない。
大きな炎に気付いたボクが近寄ると、キミの炎はボクにうつった。
それはボクの体をどんどんとかし、ボクは小さくなってしまった。
小さくなったボクは、頭にキミの炎をくっつけたままキミに尋ねた。
「どうしてそんなに小さな体をしているのに、少しもとけないの?」
キミはこう答えた。
「ずっと、がんばってるから。」
あぁ、とボクはやっと気がついた。
ロウソクは、とけてしまえばすべてが終わる。
小さくても、そこに炎があればそれがロウソク。
努力を忘れてしまえば、すぐ、とけてしまう。
だからボクは感謝している。キミがいてよかった。
今そう思えたところで、ボクはがんばることにする。
キミの炎は小さなボクの体をまたとかし始めた。
ボクは今、がんばっている。
だからもう、とけないよ。


キミの隣で、同じ炎を燃え続かせたい。
この体がとけてしまうその時まで。
それが今は、ボクの炎。


-End-

by Ria. from05/1/13