空を見上げた。夜の中で。
黒いカーテンで覆われた空には、ぼやけた月だけがぽつんと浮かんでいた。
決して曇ってはいない空。
辺りを見回しても、星ひとつ見当たらない。
月は空の真ん中で、ボクの目にとまったままでいた。
月の光に照らされたままで、ボクは何かを考えた。

星が見えないわけじゃない。
月が明るいだけじゃない。

夜はボクらに不安を与える。
そして一人、寂しくなる。
月はひとりぼっちじゃない。
いつも、黒いカーテンにくるまっているから。

星が見えないわけじゃない。
月が明るいだけなのか。

明るすぎて、ボクの目には君しか見えない。
だから星たちが見えないんだ。
決してボクが悪いわけじゃない。
全部君が悪いんだ。

星が見えないわけじゃない。
月が明るいだけなんだ。

あなたは今、この月が見えますか?


-End-

by Ria. from04/11/23