雨と鳥と僕




ある雨上がりの日の、水溜りに映った曇り空は
僕に何かを囁いているようで、僕は空を見上げた。
「サァー・・・」
一瞬風が吹き、木の葉が揺れる。
ふと、僕は宙を舞う何かに気を取られた。
それは、2匹の小さな小鳥たち。
その小鳥たちが、曇り空の中楽しそうに遊飛行をしていた。
1匹だけ、電線に止まったままのやつがいた。
その子は、楽しそうに飛ぶ小鳥たちを
今にも泣き出しそうな顔で見ているように僕は見えた。
ちゅん、ちゅん、と必死でなく小鳥を
2匹は知らぬ顔で飛んでいってしまった。
(きっと、つかれて休んでいただけだよね。待ってって鳴いていただけだよね。)
僕は自分に言い聞かせるようにして、残された小鳥を見上げた。
その子は、僕に気付きもせず、また風と共に飛んでいってしまった。
1匹だけの楽しそうな遊飛行をみて、僕は自分にまた言い聞かせる。
(逃げてるんじゃないよ。怖くなんかないよ。まだ、僕だって逃げてないから。)




水たまりを大股で通り越して、僕は小走りに歩き始めた。
きっといつかは気付いてくれるような気がして。
今日はいいことあるかなぁ?




-End-

by Ria. from04/10/22


あとがき

たしか中学校のときはじめて書いた小説・・・と言うより詩に近いものです。
題名はあの「私と小鳥と鈴と」からです。このころから真似してばっかりですね。


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